質問です、商品が売れないとき、あなたはどうしていますか?
「そりゃあ他店より1円でも値引きするしかないよね」
もしそう考えたなら、あなたの思考はだいぶ危険な状態です。

値引き競争に勝者はいません。
そこに集まるお客様は「安ければどこでも良い」人達です。

あなたのお店よりも1円でも安い場所が見つかると、あっと言う間に去ってしまいます。

安売りに反応するお客様の関心事は「安さ」なのですから当然です。

商品を値引きするというのは、実は商売人が最もやってはいけない事の一つと思うのです。

ロバート・B・チャルディーニ著「影響力の武器」に、実に興味深い心理現象が紹介されています。

アメリカのアリゾナ州で観光客相手に宝石を売っていたお店に起きた出来事です。

お店は繁盛してお客様もあふれる状態なのに、値段の割に質の高いトルコ石がなぜか売れません。
お客様の目立つ場所に移したりしてもやはりダメ。
そんな状況にそのお店の店主は業を煮やしていました。

ある日、店主が買い付けに出かける時、従業員に「トルコ石の品全てに1/2を掛けておくように」とメモを残しておきました。

数日して店に戻ってきた店主は、すべてのトルコ石が売りつくされているのを見ても別に驚きはしませんでした。

しかし実際はメモを受け取った従業員が、ひどい字で書かれた「1/2」を「2」と読み違え、全てのトルコ石が2倍の価格で売れてしまったのです。

これには店主もびっくり仰天してしまいました。
いったい何が起こったのでしょう?

著者のロバート・B・チャルディーニは、「高価なもの=良いもの」の心理現象が働いたと解説しています。

人間は、高価なもの=良いものというルールに自動的に反応してしまうというのです。
この例は、安売りをしなくても商品は売れることを示唆しています。

安売りをやめると「安さ」重視から「品質」重視の客層に変化していきます。
しかも「品質」重視のお客様はリピーターになってくれる確率が高いのですが、これは非常に重要なことです。

商品を高く売りたくても「売れなかったらどうしよう」と不安になるのも理解できます。
でも安売りをやめると、一時的に売上高が減っても客単価が上がるので、長い目で見ると利益は増えるのです。

しかも、客単価が上がると時間的な余裕が生まれるので商売がプラスに回り始めます。

勇気を持って「商品を高く売ってみる」という発想をしてみましょう。

おすすめの記事